悲しくて
今の職場の通りに父が肺癌の手術をした病院がある。
仕事で時々、前を通る。
その建物を見るたび心が押し潰され、握るハンドルが力一杯握りしめられ全ての記憶が蘇る。
あの辺りがデイルームだったな。
あの辺りで、この辺の景色を眺めてお茶を飲んでたんだな。
なんで、手術したら完治のレベルで不幸中の幸いとまで言われてたのに、たった1年で命を落とす羽目になったのかな?て。
あの時の担当医に「大丈夫って言うてやん!でも1年で命落としてしまったやん!なんで?なんでよ!」って叫びたい!
こんな病院を選んだ私がお父さんを殺してしまったんや!
私のせいで寿命を縮めさせてしまったんや!
私のせいでお父さん、死んでしまった。
私のせいでー、私のせいでー、と色んな思いや父の顔が浮かび上がり泣けてくる。
電車に乗って通勤途中も急に父の顔を思いだし涙が出てきて鼻水をティッシュで押さえる光景が何度あっただろう?
悔しい思い、腹立たしい思い、悲しい思い、辛い思い、色々あるけど悔しさが一番あるのかも?
大丈夫と医者が言ったのにも関わらず、恐れていたことが現実に起こった。
取り返しのつかぬ過ち。
思い出す度に思い知らされる。
もうこの先、永遠に会えることはないのだろうとー。
もう二度と顔を見れることも話すこともないのだなーと。
もう二度と、もう二度とー。
そのことかピンとこない。
永遠に?
体は焼けてしまって骨になった。
だから、存在しないのだから会えるわけがない。
燃やしてしまったのは、体の機能が全て停止してしまって温存できなくなったから仕方ないことだったのだ。
と、あれこれ頭で理解をし自分に言い聞かせてきたけれど、ピンときていない。
存在しない?もう顔も見ることができない?
え?なんで?
どこに行ってしまったん?
あんなに何処にも行かへん。て言うてくれてたのに。
なんで?
なんで?何処にも居ない訳?
理性と感情がまだまだ一致せず、このやりきれない思いをもて余す。
辛い。本当に悲しい。
そして寂しい。
お父さん、なんで死ぬのよ!
なんでこんなに早く逝ってしまうん?
お母さん、どないすんのよ?
ひとりで可哀想やん!
ねー、お父さん、寂しいよ!
もっとお父さんのお世話させてほしかったよ!
お父さん、介護された1年間、どうやった?
私、ちゃんとしてあげれてたかな?
不満は、なかったかな?
寂しい思い、させなかったかな?
生きてる間に、言いたかったよ。
「お父さん、有り難う。貴方の娘に生まれてきてよかったよ。」てー。
でも、そんなこと言えなかったね。
言えば先が無いこと、感づかれてしまうもんね。
でも、言えばよかったー。