気づかなかったこと
父がが死んで、言い知れようのない深い深い悲しみの中、
いつも母に何度も何度も同じことを言って涙した。
時には、ワンワン泣きながら話を聞いてもらっていた。
また、母もひとりで泣いていた。
母の家に行くと父の遺影の写真に涙と鼻水を拭ったあとを何度か発見した。
私はそれを見て、母もひとりで泣いてるんだと思った。
そのことには、触れずそっおしておいた。
母から父の話を泣きながらされたことはない。
でも私はいつも母に聞いてもらっていた。
だから気づかぬうちに、母に支えられていたことに今さらながら気づかされた。
いま、母が死んで私は誰にも遠慮なく泣いて胸のうちをさらけ出して聞いてもらえる人がいない。
父の時は、母が聞いてくれてた。
でも、母の時は母がいないから誰もいない。
ひとりで耐えなきゃならない。
父の時は、母がこんなにも支えになっててくれてたなんてー。
母が居なくなって気づいた。
母が居ない今となっては、ひたすらひとりで途方に暮れるだけ。
だからひとりで家の中で独り言を言いながら泣いている。
1日の中で思い出したかのようにランダムで襲ってくる寂しさ、苦しみ、後悔、不安、腹立ちさ、悔しさいろんな思い。
波に飲まれたかのように冷静さを失い、頭がおかしくなりそうな感情。
苦しい。
悲しい。
そして寂しい。
なんで急に居なくなるのよ!
お母さん。