居ない
どこをどう探しても、どれだけ待ってもいない。帰ってこない。
火曜土曜日とデイケアの日。
火曜日、いつもなら迎えにいく。
なのにどれだけ待っても帰ってこやしない。
実家の片付けに行き、帰ってくる時間であろうと思うがいっこうに帰ってこない。
現実にそう感じると、あー、やっぱり居ないんだ。
やっぱり死んだんだと実感する。
携帯も家の電話もしてみても出ない。
現在使われておりませんとのアナウンス。
悲しい。
寂しい。
どれだけ願っても、どれだけ頼んでも元に戻ることはない。
忘れたくない。
お母さんの感触、存在感、声、顔、冷たい指先。全て。
時間が経つにつれ薄れていく記憶。
私は忘れない。
薄れていってほしくない。
無情にも人間は、時間と共に過去形になっていく。
過去形なんかにしたくない。
今ここにはっきりと現実のものとして感じていたい。
お母さんの存在感。